专利摘要:

公开号:WO1991018990A1
申请号:PCT/JP1990/001561
申请日:1990-11-30
公开日:1991-12-12
发明作者:Atsushi Saito;Naoto Tanaka;Hideo Shinagawa;Atsuo Nakata
申请人:The Research Foundation For Microbial Diseases Of Osaka University;
IPC主号:C07K14-00
专利说明:
[0001] 明 細 書 レ トロウィルス遺伝子の発現能と翻訳後のプロセッシン グ能とを兼備するプラスミ ドの作製法、 及びこれにより得 られるプラスミ ドとその発現産物。
[0002] 技術分野
[0003] 本発明は、 レ トロウイルス遺伝子を発現すると同時に、 翻訳後のプロセッシングをも併せて行うことができる発現 ベクターの作製法、 及び該作製法により得られるプラスミ ドとその発現産物に関するものである。 更に詳しく は、 レ トロウイルスの g a g及び p o l遺伝子を組換え遺伝子技 術を用いて発現させると共に、 その発現産物中のプロテア ーゼにより該発現産物それ自身をプロセッ シングさせ、 g a g遺伝子がコ— ドする 3種のコア蛋白、 即ち、 p 1 7 、 p 2 4及び p 1 5、 並びに p 0 1遺伝子がコードする 3種 の酵素、 即ち、 プロテアーゼ、 逆転写酵素及びイ ンテグラ —ゼを夫々、 個別かつ単独の状態で成熟蛋白質ないしは活 性蛋白質として量産するプラスミ ドの作製法、 及びこれに より得られるプラスミ ドとその発現産物をも提供するもの である。 また、 n e f 遺伝子を多量発現するプラスミ ドと その発現産物である N e f 蛋白をも併せて提供するもので あ 。 背景技術
[0004] [レ トロウィルスの定義] レ トロウィルスはウィルス 分類学上、 レ トロウイルス科に属するゥィルスの総称であ り、 その共通の主な特徴は、 エンベロープ、 単鎖 RNA型 ゲノム、 及び逆転写酵素を有することである。 このウィル スは直径 8 0— lOOnraの球形で、 そのゲノムは分子量約 3 X 1 06 の線状の (+ ) 鎖 RNA 2分子からなり、 これ等 の 2分子はィンノ ーティ ッ ドダイマー (inverted dimer) を形成している。 また、 レ トロウイルス科は更に、 次の三 つの亜科、 オンコウィルス亜科、 レンチウィルス亜科、 ス プーマウィルス亜科に分類されている (R.E.F. Matthews 編 「 C 1 as s 1 f 1 cat i on and Nomenclature of Viruses- Fourth Report of the International Committee on Taxonomy of Virusesj 、 124— 128ページ、 S. Karger AG 1982年発行) 。 オンコウィルス亜科に属するウィルス は、 RN A腫瘍ウィルスとも呼ばれ、 例えば、 ヒ ト T細胞 白血病ウィルス、 ネコ白血病ウィルス、 ネズミ肉腫ウィル ス、 モロニ一マウス白血病ウィルス、 ゥシ白血病ウィルス. ブタ白血病ウィルス、 ト リ白血病ウィルス、 トリ肉腫ウイ ルス、 ト リ骨髄芽球症ウィルス、 ラウス関連ウィルス等が 公知である。 また、 レンチウィルス亜科に属するウィルス は、 スローウィルス感染症を生じるウィルスとして知られ ており、 例えば、 エイズ病原体であるヒ ト免疫不全ウィル ス 1及び 2型 (以下夫々 「H I V— 1」 及び 「H I V— 2」 と略記し、 「エイズウイルス」 と略称する) 、 サル免 疫不全ウィルス、 ヒッジ脳炎を生じるビスナウィルス、 ヒ ッジ肺繊維症を起こすマエディウィルス、 ャギ関節炎脳炎 ウィルス、 ゥマ伝染性貧血ウィルス、 ゥシリンパ節病変ゥ ィルス等が公知である ( "Current Topics in AIDS" 、 第 1巻、 9 5 —117ページ、 John Wiley & Sons 1987年発 AS ; Advances in Virus Researchヽ 第 3 4巻、 189—215 ページ、 1988年) 。 スプーマウィルス亜科に属するウィル スは、 フォーミィウィルスとも呼ばれ、 ヒ ト、 サル、 ゥシ、 ネコ等の哺乳類へ感染し、 これ等の宿主から夫々、 分離さ れたフォーミィウィルス、 シンシチアルウイルス等が公知 である。 尚、 本願発明に係るレ トロウイルスは、 上記レト ロウィルス科に属する既知及び未知の全てのウイルスを意 味するものである。
[0005] [レ トロウィルス遺伝子に関する基礎研究の現状] レ トロウイルスは、 ヒ ト及び各種動物の悪性又は致命的 感染症及び人畜共通伝染病の観点から重大なゥィルスであ るだけでなく、 腫瘍の解明や遺伝子工学等の研究用材料と しても有用なウィルスである。 従って、 該ウィルスに関し 既に、 種々の膨大な報告が為されているので、 ここでは便 宜的に、 代表的なレトロウィルスに関する現状を以下に説 明する :周知の通り、 レトロウイルスは 1980年以前には発 癌機構の解明の材料として、 また、 難病を引起こす奇妙な スローウィルス感染症の究明の観点から注目され研究され ていた。 そして、 1981年米国でエイズが発見されて以来、 その治療と予防を世界レベルで確立するための研究材料又 は実験モデルとして、 各種レ トロウィルス間の比較研究が 疫学、 免疫学、 ウィルス学、 分子生物学等を駆使して集中 的に進められ、 現在既に該ウィルスに関する有用な報告が 多数集積されている (Annual Review of Imniunology,第 6 巻、 139— 159, 1988年; Microbial Pathogenesis, 第 5 巻、 149一 157, 1988年; "Virology" , B. N. Fields 等 編、 第 2巻、 1437- 1589ページ、 Raven Press [米国] 1990年発行) 。 これ等のうち、 代表例として、 H I V— 1 の遺伝子に関連の概要につき以下に述べる。 H I V— 1の ゲノムは逆転写酵素及びウィルス粒子内部 (コア) の構造 蛋白質と複合体を形成し、 プライマー t RNAと共にウイ ルス粒子に内在する ; ウィルスゲノムは、 約 1 0種類の遺 伝子で構成されており、 基本的には、 ウィルス増殖に必須 のウィルス粒子成分をコ一ドする 3つの主要な遺伝子、 即 ち、 ウィルス · コアの 3種類の構造蛋白質の前駆物質をコ ― 卜 る g_a g group- specif ic antigens; 遺伝子、 3 種類の酵素の前駆体をコードする p o 1 (polymerase) 遺 伝子、 及びエンベロープの 2種類の糖蛋白質の前駆物質を コー ドする e n V (envelope) 遺伝子からなる ; これ等の 遺伝子は、 5 ' 末端力、ら 1噴に g a g、 p o 1ヽ 6 n v、
[0006] 3 ' 末端へと配列している ; レンチウィルスの特徴として は、 例えば、 H I Vゲノムの場合には、 g a g · p 0 1 · s 0 r… e n V · n e f の順に隣接配列しており、 該 p o 1遺伝子の 5 ' 末端領域の一部は、 コ ドン解読枠
[0007] (reading frame) を異にした状態で g a g遺伝子 3 ' 末 端領域の約 240塩基と重複し、 この重複部で翻訳時にフ レ 一ムシフ ト (frame shift) が起こり終止コ ドンを読み換 えて翻訳が進むと考えられる ; そして、 斯かる重複部を含 む全長約 1.5 k bの g a g遺伝子全領域から分子量 5 5 k dの前駆体蛋白質が翻訳された後、 プロテアーゼにより 切断、 即ち、 プロセッシングされ各々、 マト リ ックス蛋白、 キヤプシド及びヌクレオキヤプシドとして機能する 3種類 の g a g蛋白、 上述順に夫々、 P 1 7、 p 2 4及び p 1 5 になると考えられている。 また、 全長約 3 k bの p o 1遺 伝子全領域の発現により、 上記酵素前駆体 (分子量 100 k d) が、 NH2 ·プロテア一ゼ ·イ ンテグラーゼ · C 0 OHの様に表記可能な融合蛋白質の状態で産生された 後、 斯かる融合蛋白質それ自身が、 該ウィルス由来の既存 のプロテア一ゼないしは同一分子内のプロテアーゼ活性の 作用を受けて切断ないしは開裂し、 いわゆる、 プロセッ シ ングの結果、 個々の成熟蛋白質 (活性蛋白質) 、 即ち、 プ 口テアーゼ (p 1 2 ) 、 逆転写酵素 (p 6 6 と p 5 1 ) 及 びイ ンテグラーゼ (p 3 2 ) の各酵素となると考えられて いる (Journal of Vi ro logy 、 第 6 2巻、 第 5号、 1808— 1809ページ、 1988年) 。 尚、 上述の 3種類の酵素はいずれ も、 ウィルスの増殖と成-熟過程又はプロウィルス形成過程 に於いて重要な役割を夫々分担し、 これ等の各機能につい て、 下記が確認又は推定されている : プロテアーゼは、 翻 訳後のプロセッシング、 及びウィルス粒子のコア形成ない しは成熟過程に関与すると共に、 プロテアーゼ作用はそれ 自身が由来するウィルスに対し特異性が高い ;逆転写酵素 は、 ウィルス増殖の基本段階であるウィルスゲノム R N A から D N Aへの逆転写過程を触媒する R N A依存生 D N A ポリ メ ラ一ゼと して機能すると共に、 これ以外にも、 D N Aと相補的に結合した R N Aだけを特異的に分解する リ ボヌ ク レアーゼ H活性、 及び 2本鎖 D N Aを生成す る D N A依存性 D N A合成活性を有することが知られてお り、 遺伝子組換え用材料、 例えば、 相補 D N A合成用酵素 としても重宝であり、 常用されている ; ィンテグラーゼは D N A鎖に作用するエンドヌクレアーゼであり、 ウィルス ゲノム R N Aから上述の逆転写過程を経て生成された環状 ウィルス二本鎖 D N Aの宿主染色体 D N Aへの組込み部位 の認識と切断を触媒し、 プロウィルスになる過程に関与す ると考えられている。 ( "HIV and Other Highly
[0008] Pathogenic Viruses " 、 3 3— 4 1ページ、 Academic Press, Inc.1988 年発行; "The Control of Human
[0009] Retrovirus Gene Expression" 、 7 9— 8 9ページ、 Cold Spring Harbor Laboratory 1988 年発行;細胞工学、 第 7 巻 (Suppl.1 ) 、 S 5 _ S 1 5ページ、 1988年; エイズジ ャ—ナル、 第 1巻、 第 3号 291 - 300 ページ、 1988年 ; Aids、 第 2巻 (Suppl.1 ) S 2 9 - 4 0ページ、 1988 年;化学と生物、 第 2 7卷、 第 4号, 218— 227ページ、 1989年)
[0010] また、 全長約 0.4k bの n e f 遺伝子領域は分子量が約 2 7 k d の負の調節因子 (negative regul tory factor ") をコー ドしており、 この調節因子は、 H I Vゲ ノムの発現に抑制的に作用して H I Vの増殖を止め、 潜伏 感染に関与していると考えられている ( "Virology" , B. N. Fields等編、 第 2巻、 1534 _ 1535ページ、 Raven Press [米国] 1990年発行) 。
[0011] [遺伝子工学によるレ トロウィルス遺伝子産物の量産の 現状と課題] 遺伝子工学による種々のレ トロウィルスの 遺伝子産物 (以下 「抗原」 という) の量産は、 ヒ ト及び動 物用のワクチンや診断剤等を開発するため、 世界各地で広 く行われている。 その代表例として以下、 エイズウイルス 抗原の量産につき概略する。 量産の検討が行われている主 な抗原は、 e n v遺伝子の前駆体糖タンパク g p 160とそ のプロセッシング産物である g p 120及び g p 4 1等であ り ( 「エイズ対策最前線」 、 小松敏昭編著、 下巻、 477 - 495ページ、 シーエムシー 1989年発行) 、 例えば、 g p 160の生産では、 バキュロウィルスベクターと昆虫細胞 ^Proceedings of National Academy of Sciences 「U S A」 , v o l . 8 4, p p. 6924- 6928, 1987) 、 組替えワクチニァウィルスと B S C - 4 0又は Hela細胞 (Nature, v o l . 320, p p. 537- 540, 1986; 同前、 v o l . 330, p p . 259— 262, 1987) 、 アデノウィル スべクタ一と A 549細胞 ( "Vaccine 8 9 " , p p. 207 一 217, Cold Spring Harbor Laboratory 1989年発行) 等 の使用が報告されている。 また、 g p 120遺伝子領域を揷 入連係したプラスミ ドと CHO株化細胞による該領域の発 現 (Science, v o l . 233, p p. 209- 212, 1986) , 大腸菌による g p 120の生産 (Science, v o l . 234, p p. 1392— 1395, 1986) 等も報告されている。 更に、 こ れに関する主な公知技術の概略を分類し列記する (以下、 欧州公開特許番号を 「E P〕 , 西ドイツ公開特許番号を
[0012] 「D E」 、 米国特許出願番号を 「U S」 、 P C T国際特許 公表番号を 「WO」 、 そしてフランス公開特許番号を 「F R」 と夫々、 略記する) :
[0013] ( 1 ) a g, p 0 1, e n V 等の遺伝子の多量発現を 意図した技術 (以下、 使用宿主別に記載) :
[0014] 大腸菌 (E P 3 3 1 9 6 1, E P 3 2 2 3 9 4, D E 3 7 2 7 1 3 7 , D E 3 7 2 4 0 1 6 , E P 2 9 3 7 9 2, U S 8 8 - 1 6 8 4 8 6 , U S 8 8 - 2 1 8 3 0 4 , U S 8 7 - 1 1 0 3 4 8 , E P 2 5 5 1 9 0 , WO 8 7 / 0 7 2 9 6 , D E 3 7 1 1 0 1 6 , E P 2 2 7 1 6 9 , E P 1 9 9 3 0 1 , E P 2 1 9 1 0 6 ) :
[0015] 醱母 (D E 3 8 0 4 8 9 1, E P 3 2 2 3 9 4 , U S 8 8 - 1 6 8 4 8 6 ) :
[0016] ( 2 ) g a g, p o 1, e n v 等の遺伝子を揷入した組 換えヮクチニァウィルスの作製技術:
[0017] 特開平 1 一 1 4 8 1 8 3, F R 2 6 2 0 0 3 0 , F R 2 6 0 7 5 1 8 , F R 2 6 0 0 0 7 9 , F R 2 5 8 7 7 2 0 , F R 2 5 9 6 7 7 1 , E P 2 5 6 6 7 7 , W 0 8 7 / 0 6 2 6 0 , WO 8 7 / 0 6 2 6 2 :
[0018] ( 3 ) e 遺伝子をウィルスベクターにより発現させる 技術: ポリオ一マウイルス (特開平 1 _ 3 9 9 9 1 ) や バキュロウィルス (E P 2 7 2 8 5 8 , E P 2 6 5 7 8 5 ) 等の使用 ;及び
[0019] ( 4 ) エイズウイルス抗原を B型肝炎ウィルス抗原との融 合タンパクとして発現させる技術 (E P 2 7 8 9 4 0 ) 等が公知である。 - ところで、 生ワクチン等の有効成分として使用可能な組 えウィルスの作製技術は別として、 一般に、 発現ベクター による有用蛋白質の工業生産では、 低い生産コストと高い 品質を確保する上で、 多量発現、 遺伝子産物の宿主外への 分泌、 及び翻訳後のプロセッシングの 3要素は極めて重要 であり、 発現べクタ一の構築では、 これ等の 3要素を考慮 に入れる必要がある。 これに関し、 前述の従来技術の概略 から明らかな通り、 多量発現については種々検討され、 ま た、 分泌生産系の開発 (日本農芸化学会誌、 第 6 0巻、 第 5号、 1035— 1063ページ、 1990年) も広く進められている c しかし、 翻訳後のプロセッ シングの工夫については、 遺伝 子産物の精製工程の省力化や、 斯かる産物の純度等を高め る上で重要であるにも拘らず、 注目されていない。 従って. 翻訳後のプロセッ シングを可能にする発現システムの開発 に貴重な意義があることは明確である。 また、 N e f 蛋白 は、 その抗原性と機能の観点から、 エイズの診断や発症機 序の解明、 治療等の分野で有用であるため、 量産の確立が 期待される。
[0020] 発明の開示
[0021] 本発明者等は、 前述の従来技術の課題を克服するため、 鋭意研究を重ねた結果、 レトロウィルスの g a g及び
[0022] P o 1遺伝子がコー ドする 6種類の蛋白質を多量発現させ、 しかも、 プロセッ シングさせることに成功した。 換言すれ ば、 本発明は、 レ トロウイルスの g a g遺伝子産物である 3種のウィルスコア蛋白、 p 1 7、 p 2 4、 及び p 1 5、 並びに p o 1遺伝子産物である 3種の酵素、 プロテアーゼ、 逆転写酵素及びイ ンテグラーゼを夫々、 個別かつ単独の状 態で成熟蛋白質ないしは活性蛋白質として、 安定した高い 生産収率により低コス トで量産できるプラスミ ドの作製を 達成することにより完成された。 斯かる達成は、 遺伝子組 換え技術を駆使し、 レ トロウイルスのプロテアーゼ遺伝子 を必須と して含むよ う調製した該ウ ィ ルスの遺伝子 c D N A断片を誘導可能な多量発現遺伝子内又は遺伝子直 接発現ベクター内に翻訳枠を一致させて連結したプラスミ ドを作製し、 しかも、 該プラスミ ドが期待通り、 上記遺伝 子産物を多量発現し、 かつ、 発現されたプロテアーゼによ る遺伝子産物それ自身のプロセッシングを確認したことに よる。 尚、 直接発現とは、 レ ト ロウイルス遺伝子を、 べク タ一側に予め組込まれた遺伝子に由来の異種蛋白との融合 蛋白として間接的に発現させないことを意味する。 更に、 本発明者等は、 上記遺伝子 c D N Aを挿入連係し構築した プラスミ ドを移入することにより形質転換体を得ると共に、 該形質転換体の培養に後述の 2段階培養法を適用すること により、 その培養物中に、 該 c D N Aがコー ドする前述の コア蛋白質や酵素が、 融合蛋白としてではなく、 特異的活 性を有する個々の成熟蛋白質として夫々、 極めて大量かつ 安定に生産されることを見出した。 更に、 斯かるプロセッ シングが、 上記遺伝子の発現産物である融合蛋白の一部を 占めるプロテアーゼの特異的な活性作用によることを見出 した。 即ち、 該プロセッシングが、 レトロウイルスのプロ テアーゼ遺伝子に特有の現象であることを見出した。 更に、 プロセッ シングされた上記各蛋白質は、 多量生産と精製が 容易であり、 しかも、 純度及び均質性が優れて高く、 特に- レ トロウィルスに固有の基質特異性の極めて高い酵素活性 並びに抗原性を併せて有することを見出した。 また、 極め て特異的な抗原性を有する N e f 蛋白の量産をも達成した c 本発明は、 これ等の知見に基づき完成されたものである。
[0023] 本発明によれば、 トレロウィルスに係る g a g、 p o 1 . および n e f 各遺伝子がコードするを各種蛋白質の多量発 現または量産とプロセッ シングが可能なプラスミ ドの作製 法、 及びこれより得られるプラスミ ドとその発現産物が提 供される。 斯かるプラス ミ ドと発現産物であるコア蛋 白 p 1 Ί p 2 4及び p 1 5、 並びにプロテアーゼ、 逆転 写酵素及びィンテグラーゼの各酵素、 そして N e f 蛋白は- レ トロウイルス感染症の予防や治療の研究の材料として、 例えば、 遺伝子工学、 蛋白工学、 分子生物学、 レトロウイ ルス感染症に対する薬物療法剤ゃ抗ウィルス剤の開発等の 分野での試薬として、 また、 ワクチン、 診断剤、 抗体作製 等の抗原として、 極めて有用である。
[0024] 図面の簡単な説明
[0025] 第 1図は H I Vの p 0 1遺伝子を持つプラスミ ド p P G 280で形質転換された大腸菌と、 H I Vの p 0 1遺伝子を 持たないべクタ一 p U R 290で形質転換された大腸菌の粗 抽出液の逆転写活性を示す。
[0026] 第 2図、 H I Vの p 0 1遺伝子を持つプラスミ ド p P G 280と、 H I Vの p 0 1遺伝子を持たないべクター p U R 290で各々形質転換された大腸菌の粗抽出液の H I Vキヤ リァー血清を用いたゥヱスタ ンブロッ ト法による分析結果 を示す。
[0027] 第 3図は、 陰イオン交換カラムクロマ トによる大腸菌粗 抽出液の逆転写酵素の溶出パターンを示す。
[0028] 第 4図は、 ァフィゲルへパリ ンクロマトグラフィーによ る逆転写酵素の分離を示す。
[0029] 発明を実施するための最良の形態
[0030] 本発明の構成は、 次の通りである :
[0031] ( 1 ) レ トロウイルスの遺伝子の選択とその c D N A断片 の調製: レトロウィルスの遺伝子に関しては、 前述の 「定 義」 に基づく レ トロウイルスが有する g a g、 p o 1、 レ トロ トランスポゾン等の遺伝子を使用できる。 更に詳しく は、 例えば H I Vの場合、 コア蛋白、 p l 7、 p 2 4及び p 1 5をコー ドする g a g領域内の各遺伝子、 プロテア一 ゼ、 逆転写酵素、 及びィンテグラーゼをコ一ドする P 0 1 領域内の各遺伝子等を使用する。 これ等の遺伝子の発現に は、 プロテアーゼ遺伝子の使用を必須とし、 レ トロウィル スに係る上記例示の各遺伝子のうち、 少なく とも又は最短- プロテアーゼ遺伝子領域を含むよう調製したレ トロウィル ス遺伝子 c DNA断片を、 多量発現遺伝子内に解読枠を一 致させて挿入連係することにより使用する。 尚、 組換え D N A技術による遺伝子発現では、 レ トロウイルスゲノム が R N Aであるため、 上記各遺伝子は、 これと相捕的 な c DN A断片に変換して使用する。 斯かる c DNA断片 は、 宿主染色体に組込まれているプロウィルスゲノムゃク ローン化された非組込み型の環状 DN Aから調製すること ができる。 また、 ウィルス粒子から抽出したゲノム RNA を铸型として使用し、 逆転写酵素を用いる公知の常法によ り作製した c D N Aライブラリ一から選別し調製すること も可能である。 しかしながら、 上述の調製では危険度の高 いレ トロウイルスを直接取扱うため、 生物災害防止の観点 から、 必ずしも容易ではない。 従って、 該ウィルスによる 生物災害を回避すると共に、 上記調製工程に省力化を図る には、 公知かつ既製のレトロウイルスゲノム c DNAクロ ーンの使用が推奨される。 即ち、 前述に引用の総説中に見 られる通り、 現在既に、 種々のレトロウイルスゲノムのク ローニング、 制限酵素地図の作成、 塩基配列の決定等が世 界各地の研究者により報告されているので、 これ等の成果 の活用が安全かつ簡便であり、 望ましい。 例えば、 既製の ト リ 肉腫ウイ ノレスゲノ ムク ロー ンであるプラ ス ミ ド p S R A 2 (Journal of Virology, 第 3 6巻、 5 0— 6 1 ページ、 1980年) 、 H I V— 1プロウィルスゲノムク ロー ンであるプラス ミ ド P N L 3 — 1 、 p N L 3 — 2及び p N L 4— 3 (Journal of Virology, 第 5 9巻、 284— 291ページ、 1986年) 、 H I V— 1の p o 1遺伝子ク口一 ンである E. c 0 1 i U T481/p N L H402 (微ェ研 条寄第 2 1 4 6号) のプラスミ ド p N LH402、
[0032] E. c 0 1 i J M109/p C V 9 1 (微ェ研菌寄第
[0033] 1 1 4 8 8号) 、 E.— c o l丄 J M109/p N L H122 (微ェ研菌寄第 1 1 4 8 9号) 等が入手可能であり、 使用 できる。 c DNA断片の調製は、 公知の常法、 例えば、 上 述のクロ一ンから必要領域の D N Aを制限酵素で切出した 後、 フ ヱノ ール抽出、 ク ロロフ オルム処理、 エタノ ール沈 澱等により精製し行うことができる。 尚、 DNA断片の切 出しに使用する制限酵素は、 各クロ一ンの制限酵素地図を 参考にして適宜選択できる。 例えば、 上記 P NL H402の ^_丄遺伝子全領域の D N A断片の切出しを所望の場合、 制限酵素 H i n d m (Journal of Virology,第 5 9巻、 284— 291ページ、 1986年) を用いることができる。
[0034] (Π) レ ト ロウイルス遺伝子発現プラスミ ドの構築、 及び 該プラスミ ドを移入した形質転換体の作製:上述に従って 調製したレトロウィルスゲノム c DNA断片を、 公知の常 法、 例えば T 4 D N Aリガーゼを用いて多量発現遺伝子内 又は遺伝子直接発現ベクター内に挿入連係することにより レ トロウイルス遺伝子発現プラス ミ ドを構築する。 尚、 本 発明に係る上記用語 「プラスミ ド」 は便宜的表記のために 使用されており、 実質的には広く レトロウィルス遺伝子を 発現するレブリコンを意味する。 従って斯かるプラスミ ド の構築には、 公知又は市販の発現用のベクタ一、 例えば、 腸内細菌科のプラスミ ドベクタ一 p S N 508系列 (米国特 許第 4, 7 0 3 , 0 0 5号) 、 酵母のプラスミ ドベクター p J M105 (特開昭 6 2— 2 8 6 9 3 0 ) と p B H 103系 列 (特開昭 6 3— 2 2 0 9 8 ) 、 弱毒水痘ウィルス ·べク ター (特開昭 5 3— 4 1 2 0 2) 、 弱毒マレッ ク病ウィル ス ·ベクター (欧州公開特許第 3 3 4 5 3 0号) 、 大腸菌 のプラスミ ドベクター p UR 290系列 (EMBO Journal, 第 2卷、 1791— 1794、 1983年) 、 p S N5182 (Journal of Bacteriology. 第 157巻、 909— 917ページ、 1984年) 及 ひ P T 7 - 7 (Proceedings of the National Academy of SciencestUSA] 、 第 8 2巻、 1074— 1078ページ、 1985年) 等が使用できる。 発現ベクターの構築に於いて重要なこと は、 上述の遺伝子を発現量の多い遺伝子と連係することで ある。 例えば、 上述の P U R 290 を用いる場合には 1 a c Z遺伝子の下流に、 S N 5182では p s t S遺伝子 の下流に、 また、 p T 7— 7では T 7プロモータ支配下の p T 7 - 7由来のォリゴぺプチド遺伝子の下流に夫々、 該 遺伝子を挿入連係することが好ましい。 また、 斯かる該遺 伝子の挿入連係に際し、 注意すべき点は、 翻訳が円滑に進 行するよう遺伝子相互のコ ドン解読枠を一致させることに ある。 例えば、 H I V— 1、 H I V— 2、 サル免疫不全ゥ ィルス、 モロニ一マウス白血病ウィルス等の c DN A断片 を挿入連係する場合、 斯かるウィルスのプロテアーゼ は P 0 1遺伝子領域にコー ドされているので、 この p 0 1. 遺伝子の解読枠が多量発現遺伝子のそれと一致するよう連 係する。 また、 トリ肉腫ウィルスのプロテア一ゼは p o 1 遺伝子領域とは解読枠が異なる g a g遺伝子領域にコ—ド されており、 ヒ ト T細胞白血病ウィルスゃゥシ白血病ウイ ルス等のプロテアーゼ遺伝子は g a g遺伝子とも p o 1遺 伝子とも解読枠が異なる。 この様な場合には、 多量発現遺 伝子、 プロテアーゼ遺伝子及び p 0 1遺伝子間相互の解読 枠を一致させる工夫を要する。 斯かる工夫により、 各種酵 素遺伝子の発現量は保証される。 尚、 上記解読枠の一致は、 制限酵素、 ヌク レアーゼ B a 1 3 1、 マングビーン
[0035] (mungbean) ヌクレアーゼ等の酵素を用いる公知の常法に より達成できる。 また、 構築した発現ベクターを移入し形 質転換体を得る目的で用いる最適な受容細胞は、 その発現 ベクタ一の複製と発現とを許容する感受性宿主細胞から選 択し、 同時に、 斯かる宿主細胞のうち、 構築した発現べク ターの移入が容易かつ確実に検出できる細胞を厳選して使 用する。 例えば、 発現用のベクタ一として上述の p S N系 列を用いる場合には受容菌として、 該ベクター移入による 形質転換体を薬剤耐性をマ一力一として選別できる大腸菌 C 7 5株 (微ェ研菌寄第 1 0 1 9 1号) の使用が好ましく - また、 p U R 290系列及び p T 7 - 7を用いる場合には、 このべクターが移入された形質転換体をアンピシリ ン耐性 をマーカーとして選別できる大腸菌 U T 481株 (Journal of Bacteriology 、 第 163巻、 376— 384ページ、 1985 年) 及び大腸菌 B L 2 1 (D E 3 ) 株 (Journal of Molecular Biology 、 第 189巻、 第 1号、 113— 130ぺー ジ、 1986年) 等が夫々、 使用できる。 斯かる受容細胞への 発現ベクターの移入は、 公知の常法、 例えば、 塩化カルシ ゥム法 (Journal of Molecular Biology. 第 5 3卷、 154— 162ページ、 1970年) により行うことができる。 ま た、 上述の g a gや p 0 1遺伝子発現プラスミ ドが移入さ れた形質転換体は、 上記マ一力一が陽性のコロニーから選 別する。 次に、 選別された形質転換体コロニーから該発現 ベクタ一 DN Aを抽出の後、 制限酵素で切断し、 これをァ ガロースゲル電気泳動にかけ、 揷入連係された D N A断片 のサイズを測定すると共に、 該遺伝子 D N A断片の存在が 確認されたコロニーを、 レ トロウイルス遺伝子発現の形質 転換体クローンとして採用する。 例えば、 前述の発現用べ クタ一 p U R 290に p N L H402に由来の p o 1遺伝子全 領域が挿入連係された場合には、 約 4 kbの E c 0 R I断片 が検出される。
[0036] (Π) 形質転換体クローンによるレ トロウィスル遺伝子発 現の確認、 及び該形質転換体の培養による各種蛋白の大量 生産:形質転換体クローンによる遺伝子発現の確認は、 例 えば、 ゥヱスタンブロッ ト法を用いて、 該クローン培養物 の粗抽出液を分析して行うことができる。 粗抽出液は、 例 えば、 形質転換体を公知の培地中で培養の後、 低速遠心に より集菌し、 これをドデシル硫酸ナトリウムと 2—メルカ プトエタノールで処理し、 次いで、 高速遠心にかけ、 その 上清を採取することにより調製できる。 また、 ウェスタン ブロッ ト法は、 多種多様に市販されている各種材料を用い、 常法に従って、 次の順序で行うことができる ;上記粗抽出 液をポリアク リルァミ ドゲル電気泳動にかける :分離した タンパク質をトランスブロッ トセルを用いて二トロセル口 —ス膜上に転移させる ;該膜をゼラチン液に浸しプロツキ ングする。 そして以下、 例えば、 斯かる膜上の被検体が H I Vの p 0 1遺伝子産物の場合には、 H I Vキャリアー 血清と一次反応させる ; これを洗浄の後、 更に、 ペルォキ シダ一ゼ標識抗ヒ ト I g G抗体と二次反応させる ; これを 洗浄の後、 過酸化水素液と発色剤で発色させ、 H I Vキヤ リァ一血清と特異的に反応するバンドを検出することによ り、 上記クローンでの p 0 1遺伝子の発現を確認する。 尚- 上記被検体が H I V以外の他のレトロウィルスに由来の遺 伝子産物の場合には、 H I Vキャ リアー血清を使用せず、 一次反応には該当するレ トロウイルス抗血清を、 二次反応 には該抗血清が由来のヒ ト又は動物の I g Gに対する抗体 を夫々、 使用する。 g a gや p 0 1遺伝子の発現が確認さ れた形質転換体の培養による各種コア蛋白、 プロテアーゼ 逆転写酵素、 及びイ ンテグラーゼ各酵素の大量生産は、 次 の通り行う :該形質転換体の本培養用シー ドを調整するた め、 例えば、 形質転換体が大腸菌の場合、 L B培地中で、 菌体濃度が 2 X 1 0 9 〜 8 X 1 0 9 細胞 に達するまで. 3 0〜 4 0 °Cで 1 2〜 3 5時間培養する ;次に、 予め調整 した培養用培地 1000 ^に対し、 斯かるシード 1〜 1 0 £を 接種混合の後、 前培養と後培養からなる 2段階培養を行う c 前培養は、 シー ド細胞の増殖並びに発現べクタ一の増幅を 目的として行うものであり、 1 0〜 4 0 °Cで 1 〜 2 4時間、 好ましくは、 1 5〜 3 7でで 2〜 1 2時間行い、 例えば、 大腸菌の場合には、 培養下の菌体濃度、 即ち、 培養液濁度 0 D 6。。n m = 0. 1〜2. 0を目安として前培養を終了する。
[0037] 次いで、 斯かる前培養の完了に伴い、 該培養系を後培養へ 移行させる。 後培養は、 発現ベクターに連係の酵素遺伝子 の転写と翻訳、 及び翻訳後の該遺伝子産物が改編され、 活 性を有する個々の単独な成熟タンパク質となるプロセッシ ングを確保すると同時に、 翻訳後の酵素遺伝子産物が宿主 細胞に由来のタンパク分解酵素により無秩序に分解され失 活することを避けるため、 細心の注意と創意の下で設定さ れるべきである。 尚、 後培養は、 前培養に比べ相対的に低 温の方が望ましく、 1 0〜 4 0でで 1〜 4 0時間、 好まし くは、 1 5〜 3 7 。Cで 3〜 3 5時間行なう。 また、 使用す る発現ベクターの性質を考慮し、 例えば、 後培養開始時に、 培地中のリ ン酸の飢餓化、 培地中へのィンデューサ一の添 加混合等を行うことにより、 発現の促進や誘導を図ること ができる。 また、 上述の 2段階培養を行うことにより、 レ トロウィルスの各コア蛋白、 プロテアーゼ、 逆転写酵素、 及びィンテグラーゼ各酵素が、 融合タンパク質の状態では なく、 個々に独立した活性タンパク質、 即ち、 個別かつ単 独の成熟タ ンパク質と して、 通常、 培地 1 当り約 1 〜 3 0 の高収量で生産される。
[0038] ( W ) 発現ベクターにより量産された各コア蛋白、 プロテ ァーゼ、 逆転写酵素、 及びインテグラーゼ各酵素の精製: この工程は、 公知の常法を組合わせて用いることにより達 成できる。 例えば、 沈澱剤、 遠心、 濾過等による形質転換 体培養物の採取 ;超音波処理、 加圧減圧処理、 ホモジナイ ザ一等により形質転換体細胞の破壊ないしは破砕による粗 抽出液の調整;珪酸ゃ活性炭による吸脱着処理、 塩析、 有 機溶媒による沈澱等による精製;超遠心法、 カラムクロマ ト グラフ ィ ー、 電気泳動法等を用いる分画による高度 精製 ; また、 珪酸及び活性炭に吸脱着の後、 密度勾配遠心 にて分画する遺伝子産物の精製法 (特開昭 6 3 — 2 9 7 ) 等の常法により、 上記各蛋白ないしは各酵素の精製が可能 である。
[0039] 本発明の作成法により得られる発現べクターはアンプル、 バイアル瓶等の小型容器内で密封された状態、 又は宿主に 移入した状態で提供される。 また、 本発明に係る発現べク ターにより量産される各コア蛋白、 プロテアーゼ、 逆転写 酵素及びイ ンテグラ一ゼ各酵素は、 液状、 乾燥粉末、 又は 濾紙や膜等に吸着の状態で、 アンプル、 バイアル瓶等の小 型容器内に密封し、 提供できる。 液状の場合はそのまま必 要量使用し、 乾燥の場合は、 蒸溜水で溶解し乾燥前の体積 まで戻した後、 必要量使用する。 濾紙や膜等に吸着の場合 には、 使用書に指定の溶液で湿潤させた後、 使用する。
[0040] ( V ) n e f 遺伝子発現プラスミ ドの構築、 N e f 蛋白の 量産 · 確認 · 精製 · 使用 ; これ等は、 前述 ( I ) か'ら
[0041] ( IV ) の記載と同様の要領で行うことができる。 但し、 n e f 遺伝子は、 H I Vのゲノムにおいて g a gや p o 1 遺伝子から離れた位置にあり、 N e f 蛋白の産生には翻訳 後のプロセッシング過程を必要としないので、 該蛋白は、 単一種の蛋白として生産させた方が合理的かつ省力的であ る。 それ故、 N e f 蛋白の量産は、 プロセッシングを考慮 することなく、 n e f 遺伝子を単独で多量発現させること により達成できる。 即ち、 n e f 遺伝子発現プラスミ ドは、 n e f 遺伝子 c D N A断片を多量発現遺伝子または遺伝子 直接発現ベクターに挿入連係することにより作製する。 尚. n e f 遺伝子 c DNA断片は、 H I Vゲノム中の n e f 遺 伝子領域や、 n e f 遺伝子 c D N Aを有するプラスミ ド P N L 4 - 3 (Journal of Virology 、 第 5 9巻、 284 - 291ページ、 1986年) やプラスミ ド p NLH152 (微ェ研 条寄第 3 1 7 9号) 等を用いて調製できる。
[0042] 本発明によって奏せられる効果は以下の通りである。
[0043] ( 1 ) 本発明によれば、 レ トロウイルス遺伝子の多量発現 とプロセッ シングとが同時に可能となり、 かつ、 該発現べ クタ一を用いるレトロウィルス抗原や酵素の量産では、 極 めて危険度の高いレトロウイルスそのものを使用しないた め、 製造工程下でのバイオハザード対策の観点から、 優れ て安全であり、 かつ、 製造作業も容易である。
[0044] ( 2 ) 培養液 1 ^中の各コア蛋白、 各酵素、 及び N e f 蛋 白の産生量は、 蛋白量で 1〜 3 Omgであり、 生産収率が極 めて高い。
[0045] ( 3 ) 本発明によれば、 レ トロウイルスの各コア蛋白、 プ 口テアーゼ、 逆転写酵素及びイ ンテグラーゼが多量発現遺 伝子産物との融合タンパクとして発現されるにも拘らず、 融合タンパクの状態ではなく、 夫々プロセッシングされた 単独の成熟蛋白として産生させることが可能であるため、 単独の上記遺伝子の発現に比べ、 能率的かつ合理的であり 更に、 上述の ( 1 ) 及び ( 2 ) をも併せて考慮に入れると 生産コス トが低く、 経済的である。
[0046] ( 4 ) レ ト ロウイルスに固有の基質に対し極めて特異性の 高い酵素、 及び高純度の該ウイルス各種抗原が廉価かつ大 量に提供できるため、 遺伝子工学だけではなく、 レ トロゥ ィルス感染症、 例えば、 エイズ、 成人 T細胞白血病、 ニヮ ト リの肉腫や白血病、 ネコ白血病等の基礎研究、 高度の選 択毒性を有する特異的な治療剤や予防剤の開発、 診断等に 長足の進歩をもたらすと共に、 人類の保健衛生並びに畜産 の振興への福音となる。
[0047] ( 5 ) 本発明に係るプラスミ ド作製法は、 レ トロウイルス が有する多様な種々の遺伝子並びにレトロ トランスポゾン が有する各種遺伝子の多量発現と爾後のプロセッシン を 可能にするため、 これ等の遺伝子産物の合理的かつ能率的 量産の開発に応用できる。
[0048] 以下、 本発明の具体例につき実施例を挙げて説明する。 但し、 本発明は、 以下の実施例にのみ限定されるものでは ない。
[0049] 尚、 以下の実施例において逆転写酵素の活性は次の通り に測定した :反応液の組成が 5 0 mMの トリ ス · H C 1 ( H 8. 3 )、 5 0 mMの塩化カ リ ウム、 1 0 mMの塩化マグネシウム、 3 mMのジチォスライ トール、 0.1% (W/ V) のノニデッ ト P— 4 0 (シュル石油社 〔米国〕 製) 、 2 0 /idの
[0050] ( r A) π · ( d Τ) 1 2- ΐ 8 (フ アルマシア社 〔スウ ェー デン〕 製) 、 0.5mMの TT P (チミ ジン ト リ フォスフヱイ ト) 、 l 〃 C iの 〔3 H〕 · TT Pで検体 5 〃 ^を含めて 5 0 〃 ^として、 3 7 °Cにて 1 0分間インキュべ一卜した ( 反応液を直ちに氷冷し、 濾紙 D E 8 1 (ワ ッ トマン社 〔英 国〕 製) にて濾過し、 フィルターを 5 %リ ン酸ソーダ液に てよく洗浄し、 更に水洗後エタノールで洗い、 乾燥して、 液体シンチレ一ションカウンタ一にて c pmを測定した。 実施例 1
[0051] レンチウイルスの p 0 1遺伝子を揷入連係した発現べク ターの構築: H I Vプロウィルスゲノム DN Aを保有する プラス ミ ド p NL 4— 3 (Journal of Virology, 5 9 (2): 284- 291, 1988) の D N Aを 5 // g、 5 n Ά <D
[0052] H i n d m、 2 0 〃 ^の 5 xRM ( 5 0mMト リ ス ' H C l , pH7.5, 3 5 mMM g C 1 2 , 300mMN a C 1 ) を加え、 蒸留 水で全量を 100〃 ^ として、 3 7 °Cにて 1時間、 インキュ ベ一ト後、 T E ( 1 0 mMト リ ス · H C 1, pH7.5, 1 mME D T A) で飽和したフ ヱノ ールにて抽出し、 水層をクロロホ ルム処理して、 エタノール沈澱した。 沈澱を 1 0 / £の丁 Eに溶解した内の 1 〃 と、 H n d Mで開裂し、 アル力 リ性ホスファターゼ処理したプラスミ ド P H S G 398DN AO.1 g ( l 〃 jg) 、 更に、 の 1 0 Xライゲーシ ョ ン緩衝液 (660mMト リス · H C 1, H7.6, 6 6 mMM g C 1 2 - lOOm D T T, 1 mMA Τ Ρ ) を加えたものに、 1 〃 の T 4 DNAリガーゼを添加し、 全量を蒸留水で 2 0 〃 £ と した後、 1 5 °Cにて 1 2時間、 イ ンキュベー ト した 次いで、 この反応液により大腸菌 JM103株を塩化カルシ ゥム法 (Journal of Molecular Biology, 5 3 : 154, 1970) により形質転換し、 クロラムフヱニコール 2 0 〃 g ^含有の L B平板培地 ( 1 % (W/V) Bacto-trypton, 0.5 % (W/V) Bacto-yeast extract, 1 % (W/V) N a C 1および 1.5 % (W/V) 寒天) にて、 クロラムフ ェニコール耐性コロニーを選択した。 クロラムフヱニコ一 ル耐性クローンより常法によりプラスミ ド DNAを抽出し, プラスミ ド p NL 4— 3 DNA由来の約4.0kbの断片を含 むクローンを H i n d m切断により選別し、 クローン p N L H402を得た。
[0053] 5 〃 jg のプラ ス ミ ド p N L H 402 D N A ( 5 g ) に 5 a £の H i n d ΙΠと 1 0 〃 ^の 5 X RMを加え、 全量 を蒸留水で 5 0 〃 £ と し、 3 7。Cで 1時間ィ ンキュベー ト し、 フヱノール抽出、 クロ口ホルム処理後、 エタノール沈 澱した。 この沈澱に 1 0 〃 の 5 X RMと 5 〃 ^の B g 1 Πを加え、 全量を蒸留水で 5 0 としてよく溶解 し 、 3 7 °Cで再び 1時間インキュペートし、 フヱノール 抽出、 クロ口ホルム処理後、 エタノール沈澱させた D N A は 1 0 〃 ^の T Eに溶解した。
[0054] 一方、 発現用べクタ一 p U R 290 (The EMBO Journal, 2 (2): 1791- 1794, 1983) の 5 gに 5 // £の H i n d I- 1 0〃 £の 5 1^を加ぇ、 蒸留水にて 5 0〃 J こしたも のを 3 7 °Cで 1時間ンキュぺ一 卜し、 フヱノ一ル抽出、 ク ロ ロホルム処理後、 エタノ ール沈澱を行い、 これに 5 X RM (N a C 1の濃度は 500mM) を 1 0 ^ と B a m
[0055] H Iを 5 ^ 、 更に蒸留水を 3 5 / 加え、 完全に沈澱を 溶解し、 3 7 °Cで再び 1時間イ ンキュベー ト し、 フヱノー ル抽出、 ク ロ口ホルム処理後、 エタノール沈澱させた DNAを 1 0〃 £の丁 £に溶解した。
[0056] 次に上記の H i n d mと B a mH Iで切断した p U R 290 ( 1 z ) と H i n d mと B g l Πで切断した
[0057] P N L H 402 ( 1 n ί ) を混合し、 1 O xライゲーシヨ ン 緩衝液 2 β および 1 〃 £の T 4 DNAリガーゼを加え、 全量を蒸留水にて 2 0〃 ^とし、 1 5 °Cにて 1 2時間イ ン キュべ一 卜した。 この反応液にて大腸菌 UT481株
[0058] (Journal of Bacteriology, 163: 376- 384, 1985) を 前述の塩化カルシウ ム法にて形質転換し、 ア ン ピシ リ ン 2 0 ^ g Zmi含有の L B平板培地にてアンピシリ ン耐性 コロニーを選別し、 更に、 P N L 4 — 3由来の 3.8kbの断 片を含むクローンを E c o R I切断にて揷入断片のサイズ を測定することにより選別し、 クローン UT481ZP P G 280を得た。 即ち、 このクローンはプラスミ ド p UR280 上の 1 a c Z遺伝子の 3 ' 末端部に 3.8kb の H I V p o 1 遺伝子領域が連結されており、 1 a c Zと p o 1 の遺伝子 産物は融合蛋白 (約 230kd) として発現し、 その後プロセ スされて各種酵素が産生されると推定される。
[0059] 実施例 2
[0060] 形質転換体の培養によるレンチウィルスのプロテアーゼ、 逆転写酵素、 およびインテグラ一ゼ各酵素の生産:形質転 換体ク ロー ン U T 481 / p P G 280 をア ン ピシ リ ン
[0061] 2 0 ^ 含有の L B培地 (Bacto- tryptone 1 % (WZ
[0062] V) , Bacto-yeast extract 0.5%および (WZV)
[0063] N a C 1 1 % (W/V) ) で、 3 7 °Cにて 1 8時間培養後、
[0064] 1 Z100容量を新鮮 L B培地 (アンピンリ ン 2 0 /τά 含有) に加え、 2 5 °Cにて前培養した。 培地の濁度
[0065] 0 D 600 nmが 0.5に到達した時、 I P T G (Isopropyl- thiogalactoside , シグマ社 〔米国〕 製) を I mM加え、 更 に 2 5 °Cにて 1 8時間培養を続けた。 遠心操作 (5000rpm, 5分) で菌体を集め、 1 Z 2 5容量の 4 0 mMト リ ス · H C 1, pH8.0(0. Ira E D T A, 5 mMM g C 1 2 , 0.1% (W/ V) TritonX- 100および 1 OmMの 2—メルカプトェ 夕ノールを含む) に浮遊し、 超音波処理 ( 3 0秒間処理を 5回、 19.5KHz, 300W) 後、 遠心操作 (19, 000rpm, 6 0 分) によ り 、 上清を分離した。 この粗抽出液中の H I V p o 1遺伝子産物を検討するため、 粗抽出液の逆転 写酵素活性を測定した結果を第 1図に示す。 期待される有 意な逆転写酵素活性が認められた。 また、 ウェスタンプロ ッ ト法による分析も行った。 即ち、 集めた菌体に 4 % (W XV) の ドデシル硫酸ナ ト リウム (S D S) と 1 % (WZ V) の 2—メルカプトエタノールを加え、 5分間煮沸処理 し、 遠心操作 (ΙΟ, ΟΟΟΓΡΠΙ, 5分間) した上清を、 0.1% (W/V) S D S - 1 0 % (W/V)ポリアク リルアミ ドのゲ ルを用いて電気泳動し、 トランスブロッ トセル (バイオラ ッ ド社 〔米国〕 製) を用いて二トロセルロース膜 (S & S 社 〔西独〕 製) にプロッ ト後、 常法通り 3 % (W/V) の ゲラチン液に浸しブロッキングした。 次いで、 フィルター を H I Vキヤリァ一血清と一次反応させ、 洗浄後、 ペルォ キシダ一ゼ標識ャギ抗ヒ ト I g G血清 (バイオラッ ド社
[0066] 〔米国〕 製) と二次反応させた。 最後にフィルタ一を洗浄 後、 5 0 m£の T B S ( 2 0mMトリス * HC 1, pH7.4, 500 m N a C 1 ) に 0.4 の DAB ( 3, 3 ' 一 diaminobenzidine tetrahydrochloride ) と 3 0 % (WZ V) の過酸化水素液 1 5 £を加えた発色液に浸し、 1 5 分間室温にて発色させ、 フィルタ一を蒸留水で洗浄し、 反 応を停止した。 第 2図に結果を示した。 H I V p 0 1遺伝 子を保有しないベクター P UR290による形質転換菌 UT 481/ p UR 290の粗抽出液では、 H I Vキヤ リァー血清 と反応する特異なバンドは見られないが、 UT481Z p P G 280の粗抽出液中には、 H I Vの p 0 1遺伝子産物 である分子量 6 6 kdと 5 1 kdの逆転写酵素、 3 2 kdのイン テグラ一ゼおよび 1 2 kdのプロテア一ゼのバンドを認める ことが出来た。 逆転写酵素が、 —ガラク トシターゼより 切断されていることは、 第 3図の陰イオン交換体 MonoQ (フ アルマシア社 〔スゥヱ一デン〕 製) カラムクロマトグラフ ィ一の結果からも容易に分かる。 即ち、 逆転写酵素活性は /3—ガラク 卜シタ一ゼ活性と完全に分離した画分に認めら れた。 よって、 H I V p 0 1遺伝子産物は; 6—ガラク トシ ダーゼとの融合蛋白として産生されるが、 p 0 1遺伝子産 物のプロテアーゼにより、 プロテア一ゼ、 逆転写酵素およ びイ ンテグラ一ゼの領域が特異的に切断され、 菌体中に蓄 積されるものと推察される。
[0067] 実施例 3
[0068] レンチウイルスのプロテア一ゼを多量に産生するべクタ —の構築 : 実施例 1 で得た p o 1 遺伝子発現ブラス ミ ド p P G 280の DN A 5 gに、 5 / ^の H i n d H
[0069] 2 0 〃 ^の 5 X RMを加え全量を蒸留水で 100 と し、
[0070] 3 7 °Cで 1時間イ ンキュベー ト し、 フヱノ一ル抽出、 ク口 口ホルム処理後、 エタノ一ル沈澱した。 この沈澱に 5 i の B a 1 I と 1 0 〃 の 5 X RM (— N a C l ) を加え、 全量を蒸留水で 5 0 と してよく溶解し、 3 7 °Cで再び
[0071] 1時間インキュベー ト し、 フヱノール抽出、 クロ口ホルム 処理後、 エタノ一ル沈澱した。 この沈澱に 5 ^ の 1 0 X ポリ メラ一ゼ緩衝液 (670mMト リス · H C 1, H8.8,
[0072] 6 7 mMM g C 1 a , 166raM (NH 4)2 S 04, 100mM2一メ ルカプトエタノール, 6 7 mME D T A) と 5 〃 ^の 1 O x NT P溶液 (各 3.3mM d AT P, d GT P, d TT Pおよ び d C T P) と 1 // ^の T 4 D N Aポリメ ラ一ゼを加え、 全量を蒸留水で 5 0 / と してよく溶解し、 3 7 °Cで 1 5 分イ ンキュベー トし、 フヱノール抽出、 クロ口ホルム処理 後、 ェタノ一ル沈澱した。 この沈澱を 1 0 〃 £の T Eに溶 解した内の 1 // ^に 2 ^の 1 O xライゲーショ ン緩衝液 を加えたものに、 1 / ^の T 4 DNAリガーゼを添加し、 全量を蒸留水で 2 0 〃 ^ とした後、 1 5 °Cで 1 2時間イン キュペー ト した。 この反応液にて大腸菌 U T481株を前述 の塩化カ ル シ ウ ム法にて形質転換し、 ア ン ピ シ リ ン J 1
[0073] 3 3
[0074] 2 0 g / 含有の L B平板培地にてアンピシリ ン耐製コ ロニーを選別し、 更に、 p NL 4— 3由来の 0.55kbの断片 を含むクローンを E c 0 R I切断にて挿入断片のサイズを 測定することにより選別し、 クローン U T481ZP L B
[0075] 550- 3を得た。
[0076] H I V - 1 (レンチウィルス) のプロテア一ゼを多量に 産生するベクターの構築: P NLH402 (実施例 1 ) を
[0077] B g 1 D及び K p n Iで切断し、 生じた約 1.7kbの DN A
[0078] 断片を回収し、 更に N 1 a IVで切断した。 この時生じた約
[0079] 1.2kbの D N A断片をクローニングベクター p CU l 9の
[0080] H i n c Π部位に挿入 ·連結し、 P UN 4 0を得た。
[0081] p UN 4 0を B a mH I及び P s t Iで切断し、 生じた約
[0082] 1.2kbのDNA断片を、 B a m H I及び P s t Iで開裂し
[0083] た発現べクター p UR291 (The EMBO Journal, 2(2):
[0084] 1791— 1794, 1983) 及び p T 7— 7 (Proc - Natl. Acid.
[0085] Sci.USA, 82: 1074- 1078, 1985) に挿入し、 p P G401及
[0086] び p T P 440をそれぞれ構築した。 P G401を B a l l
[0087] 及び P s t Iで切断し、 T 4 D N Aポリメラ一ゼ処理の後、 自己連結させることにより P P G421を得た。 また、
[0088] p T G 440を B a 1 I及び P s t Iで切断し、 T 4 DNA
[0089] ポリメラ一ゼ処理の後、 自己連結させることにより p T P
[0090] 442を得た。 p P G401, p P G421, p T P 440及び p TP 442¾H I V - 1のプロテアーゼを発現する。
[0091] p P G401及び p P G421では、 発現の宿主として UT 481株及び J M103株を用いた。 P TP 440及び p TP 442では、 発現の宿主として B L 2 1 (D E 3) 株を用い た。
[0092] 実施例 4
[0093] 形質転換体によるレンチウイルスのプロテアーゼの多量 生産:形質転換体ク口ーン U T481ZP L Β 550— 3を L Β培地 (アンピシリ ン 2 0〃 gZmi含有) で 3 7 °Cにて 1 8時間培養後、 1 Z100容量を新鮮 L B培地 (アンピシ リ ン 2 0 含有) に加え、 3 7 °Cにて前培養した。 培地の濁度 OD 600nm が 0.5に達したとき、 I P TG
[0094] (Isopropyl β -D-Thiogalactos ide, シグマ社 〔米国〕 製) を 1 mM加え、 更に 3 7 °Cにて 6時間培養を続けた。 遠 心操作 (5000rpm, 5分) で菌体を集め、 4 % (W/V) の ドデシル硫酸ナ ト リ ウム (S D S) と 1 % (W/V) の 2 —メルカプトエタノールを加え、 5分間煮沸処理し、 遠心 操作 (10, 000rpm, 5分間) した上清を 0.1% (W/V) S D S · 1 5 % (W/V) ポリアク リルァミ ドのゲルを用 いて電気泳動し、 以下、 実施例 2に記述したとおり、 ゥェ スタン · ブロッ ト法で解析した。 U T481ZP U R 290の 粗抽出液では H I Vキヤ リァ一血清と反応する特異なバン ドは見られないが、 U T48lZp L B 550- 3の粗抽出液 では 1 2 kdのプロテア一ゼのバン ドを認めることが出来た, 尚、 p L B 550— 3によるプロテア一ゼの産生量は p P G 280の数倍であった。 このクローンはプラスミ ド
[0095] p U R 290の 1 a c Z遺伝子の 3 ' 末端部に 0.55kbの
[0096] H I V p 0 1遺伝子が連結されており、 1 a c Z - p 0 1 遺伝子産物は分子量約 140kdの融合タンパクとして産生さ れ、 その後、 プロセスされて分子量約 1 2 kdのプロテア一 ゼが産生されると推定される。
[0097] 実施例 5
[0098] オンコウイスルのプロテア一ゼ遺伝子および p 0 1遺伝 子を挿入連係した発現ベクターの構築: トリ肉腫ウィルス D N Aクローン p S R A 2 (Journal of Virology 、 第 3 6巻、 5 0 — 6 1 ページ、 1980年) の D N A 5 ^ g に 5 fi βの B a mH I と 2 0 〃 £の 5 x RMを加え、 蒸留水 で全量を 100〃 として 3 7 °Cにて 1時間インキュベー ト した。 この反応液を 1 % (WZV) 低融点ァガロースゲル で電気泳動の後、 1.8kbの D N A断片を含むゲルを切り出 し、 フヱノール抽出、 クロ口ホルム処理後、 エタノール沈 澱した。 この D N Aの沈澱を 1 0 〃 _gの T Eに溶解した内 の β £ に、 B a mH Iで開裂してアル力リ性ホスファタ -ゼ処理したプラス ミ ド p U R 2 9 1 D N A 1 〃 ^ (0. l^ g) 、 更に、 2 /ζ _βの 1 O Xライゲ一ション緩衝 液、 1 ^ の T 4 DN Aリガ一ゼを添加し、 蒸留水で全量 を 2 0〃 ^とした後、 1 5 °Cにて 1 2時間インキュベート した。 次いで、 この反応液により大腸菌 UT481株を塩化 カルシウム法により形質転換し、 アンピシリ ン 2 0 / gZ 含有の L B平板培地にてァンピシリ ン耐性コロニ一を選 択した。 アンピシリ ン耐性クローンより常法によりプラス ミ ド DNAを抽出し、 プラスミ ド p S RA 2由来の 1.8kb 断片を含み、 かつ、 l a c Z— g a g融合タンパクを産生 するクローンを選択し、 p S R281を得た。
[0099] プラス ミ ド p S RA 2の DNA 5 gに 5 ^の P s t I と 2 0 〃 ^の 5 X RM (750mMN a C 1 ) を加え、 蒸留 水で全量を 100〃 として 3 7 °Cで 1時間インキュベート した。 この反応液を 1 % (W/V) 低融点ァガロースゲル 電気泳動の後、 3. Ikbの D N A断片を含むゲルを切り出し、 フヱノール抽出、 クロ口ホルム処理の後エタノール沈澱し. 1 0〃 _gの T Eに溶解した。 同様に、 M l 3 m P 1 8の二 重鎖ファ一ジ DNAを P s t lで開裂してアル力リ性フォ スファターゼ処理した。 この DNA l z (0. g ) に 上記 3. lkbD N A断片 1 〃 、 2〃 ^の 1 0 xライゲ―シ ョン緩衝液、 1 〃 の T 4 DNAリガーゼを添加し、 蒸留 水で全量を 2 0 とした後、 1 5 °Cで 1 2時間インキュ ベー トした。 次いで、 この反応液を用いて、 塩化カルシゥ ム法により大腸菌 T G 1株にファージ D NAを トランスフ ェクシヨ ンして、 X— g a l ( 5 — bromo— 4 — c— hloro-3-indolyl- S -D-galactopyranos ide, シグマ社 〔米 国〕 製) 4 0 / gZ 含有の 2 Y T平板培地 (1.6% (W / V) Bacto-trypton, 1 % (W/ V) Bacto-yeast extract, 0.5% (W/ V) N a C 1および 1.5 % (WZ V) Bacto-agar) にてプラークを形成させた。 次に、 T G 1株を 2 Y T液体培地 (1.6 % (W/V) Bacto- trypton, 1 % (W/V) Bacto-yeast extract, 0.5% (W /Y) N a C 1 ) で濁度 O D Qnm =0.3まで増殖させ、 生じたプラークのうち無色のもの数クローンを接種し、 更 に数時間培養を続けた後、 常法により単鎖 D N A及び二重 鎖 D NAをそれぞれ調製した。 得られた二重鎖 D NAを P s t Iおよび B a m H Iで切断することにより、
[0100] P S R A 2由来の 3. lkb断片を含むクローン M l 3 s r 3 1を選別した。 p S R A 2由来の 3. lkb断片には、 g a (プロテア一ゼ) 遺伝子の 3, 末端、 その終止コ ド ン T A Gおよび p 0 1遺伝子がコ—ドされており、 終止コ ドンの前に 1塩基を挿入すれば、 翻訳枠が一致した g a g - P 0 1融合遺伝子となる。
[0101] 本発明者等は、 アマシャム社の i n V i t r o突然変 移誘発キッ トを用いて M l 3 s r 3 1上の該 TA G終止コ ドンの前に 1塩基挿入し、 ATA Gに改変したクローン M 1 3 s r 3 2を得た。
[0102] M 1 3 s r 3 2の二重鎖 D NA 5 gに 5 £の P s t I と 2 0 μ _gの 5 X RMを加え、 蒸留水で全量を 100 z H として 3 7 °Cで 1時間インキュベートした。 この反応液を 1 % (WZV) 低融点ァガロースゲル電気泳動の後、 3. lkbの E) N A断片を含むゲルを切り出し、 フエノール抽 出、 ク ロ口ホルム処理の後、 エタノール沈澱した。 こ の D N Aの沈澱を 1 0 ti の T Eに溶解した内の 1 £に P s t Iで切断してアル力リ性ホスファタ一ゼ処理したプ ラスミ ド p S R281D NA l // jg (0. l / g) 、 更に
[0103] 2 の 1 0 X ラ イ ゲ一 シ ヨ ン緩衝液、 1 〃 £ の丁 4 D N Aリガーゼを添加し、 蒸留水で全量を 2 0 / とした 後、 1 5 °Cで 1 2時間インキュベートした。 次いで、 この 反応液により大腸菌 U T481株を塩化カルシウム法により 形質転換し、 アンピシリ ン 2 0 Z ^Z^含有の L B平板培 地にてアンピシリ ン耐性コロニーを選択した。 ァンピシリ ン耐性クローンより常法によりプラスミ ド D NAを抽出し P s t Iおよび B a mH Iで切断することにより、 M l 3 s r 3 2由来の 3. lkb断片の存在とその方向を確認し、 プ 口テアーゼおよび p_o 1遺伝子産物の発現が予期されるク 91/1 9 0
[0104] 3 9 ローン UT48lZp S R271を得た。 尚、 p S R281に含 まれる P S RA 2由来の 1.8kb領域のうち M 1 3 s r 3 2 由来の 3. lkb断片と重複する 1.3kbは、 p S R281を
[0105] P s t Iで切断する際に切り出される。
[0106] 実施例 6
[0107] 形質転換体の培養によるオンコウィルスのプロテアーゼ 逆転写酵素、 およびインテグラ一ゼ各酵素の生産:形質転 換体クローン UT481/P S R271を L B培地 (アンピシ リ ン 2 0 gノ^含有) で、 3 7 °Cにて 1 8時間培養後、 1 Z 100容量を新鮮 L B培地 (アンピシリ ン 2 0 g/id 含有) に加え、 2 5 °Cにて前培養した。 培地の濁度 OD 600nmが 0.5に到達したとき、 I P T Gを I mM加え、 更に 2 5 °Cにて 1 8 時間培養を続けた。 遠心操作 (5000rpm, 5分) で菌体を集め、 1 Z 2 5容量の 4 0 mMト リ ス · H C 1, H8.0 (0. ImME D T A, 5mM M g C 1 2 , 0. % (W/ V) TritonX- 100および 1 OmMの 2—メルカ プトェタノ一ルを含む) に浮遊し、 超音波処理 ( 3 0秒間 処理を 5回、 19.5KHz, 300W) 後、 遠心操作 (19, 000rpm, 6 0分) により、 上清を分離した。 この粗抽出液中の R S V遺伝子産物を検討するため、 粗抽出液の逆転写酵素 活性を測定したところ期待される有意な逆転写酵素活性を 認めた。 また、 ウェスタンプロッ ト法による分析も行った。 即ち、 集めた菌体に 4 % (W/V) の ドデシル硫酸ナトリ ゥム (S D S) と 1 0 % ( V/V) の 2—メルカプ トエタ ノールを加え、 5分間煮沸処理し、 遠心操作 (10, 000rpm, 5分間) した上清を、 0.1 % (W/V) S D S— 1 5 % (WXV) ポリアク リルァミ ドのゲルを用いて電気泳動し. トラ ンスブロッ トセル (バイオラッ ド社 〔米国〕 製) を用 いて二トロセルロース膜 (S &S社 〔西独〕 製) にプロッ ト後、 常法通り 3 % (WXV) のゲラチン液にプロッキン グした。 次いで、 フィルターを抗 R S Vゥサギ血清と一次 反応し、 洗浄後、 ペルォキシダ一ゼ標識ャギ抗ゥサギ I g G血清 (バイオラッ ド社 〔米国〕 製) と二次反応した, 最後にフィルターを洗浄後、 5 0^の丁83 (2 0mMトリ ス · H C 1, H7.4, 500mMN a C 1 ) に 0. の DAB 、 3, 3 ― diarainobenzidine tetrahydrochlor ide) と 3 0 % (WZV) の過酸化水素液 1 5 / ^を加えた発色液 に浸し、 1 5分間室温にて発色させ、 フィルターを蒸留水 で洗浄し、 反応を停止した。 R S V遺伝子を保有しないべ クタ一 p 111^ 290にょる形質転換菌11丁481 UR290 の粗抽出液では、 抗 R S Vゥサギ血清と反応する特異なバ ンドは見られないが、 UT481/p S R 271の粗抽出液中 には、 R S Vの逆転写酵素 (p 9 2, p 6 5 ) のバンドを 認めることが出来た。 R S Vのプロテア一ゼおよび p o_l 遺伝子産物は δ—ガラク トシダーゼとの融合蛋白として産 生される力 、 g a g遺伝子産物のプロテアーゼにより、 プ 口テア一ゼ、 逆転写酵素およびイ ンテグラーゼの領域が特 異的に切断され、 菌体中に蓄積されるものと推察される。 また、 クローン U T481/p S R271は、 プラスミ ド p U R291上の 1 a c Z遺伝子の 3 ' 末端部に 3.6kbのラ ウス肉腫ウィルスの g a gおよび p o 1遺伝子領域が連結 されており、 1 a c Z, g a gおよび p o 1遺伝子産物は 融合蛋白 (約 230kd) として発現し、 その後、 プロセスさ れてプロテア一ゼ ( p 1 5 ) 、 逆転写酵素 ( p 9 2, P 6 5 ) 、 イ ンテグラーゼ (p 3 2 ) が産生されると推定 される。
[0108] 実施例 7
[0109] 逆転写酵素の抽出 :実施例 2に記載したごとく、 形質転 換大腸菌ク口一ン U T581ZP P G 280を 9 ^の L B培地
[0110] (アンピシリ 2 0 〃 g/ 含有) にて 2 5 °Cで培養し、 菌 の濁度 0 D 600 nm が 0.5に到達したとき、 I P T Gを 加え、 更に、 2 4時間培養を続け、 集菌後、 120; ^の
[0111] 4 0 mMト リス · H C 1, pH8.0(0. ImM E D T A, 5 mM M g C 1 2 , 0. ΙΨ/V TritonX- 100および 1 0 mM 2 —メ ルカプトエタノールを含有する) 緩衝液に浮遊し、 超音波 処理により菌体を破砕し、 遠心操作 (19,000rpm, 6 0分 間) し、 上清を粗抽出液として分離した。
[0112] 実施例 8
[0113] 逆転写酵素の粗精製:粗抽出液にポリ ミ ン P (B R L社 〔米国〕 製) を 0.1% (W/V) 加え、 4 °Cにて 3 0分攪 拌し、 遠心操作 (16,000rpm, 2 0分間) して得た上清に硫 酸アンモニゥム液を加え、 4 0 %飽和として生じた沈澱を 遠心操作 (16, OOOrpm, 2 0分間) によ り除去し、 上清 を得た。 再び、 硫酸アンモニゥム液を加えて、 8 0 %飽和とし、 生じた沈澱を上記の 5 Q ν£の 4 O mMトリス · H C 1緩衝液に溶解し、 同様の 5 0 mMN a C 1を含む緩衝 液で透析を行った。
[0114] 実施例 9
[0115] 逆転写酵素の精製:次に、 D E A Eバイオゲル A (バイ オラ ッ ド社 〔米国〕 製) とァフィゲルへパリ ンカラムクロ マト (バイオラッ ド社製) にて精製を行った。 4 O mMトリ ス * H C 1, pH8.0(0. ImM E D TA, 5 m M g C 1 2, 0.1% (W/V) TritonX-100, 1 O mM 2 —メルカプ トエタ ノールおよび 5 0 mMN a C 1を含有する) 緩衝液で平衡化 した容量 3 0 ^の D E A Eバイオゲル Aカラムを上記の透 析済み試料を通過させたものを上記の緩衝液で平衡化した 容量 3 0 miのァフィゲルへパリ ンカラムに通し、 塩化ナト リゥム勾配 5 0 mM〜400mMの溶出液 にて溶出した。 結果を第 4図に示す。 逆転写酵素活性を含む画分 2 9 〜 3 8をプールした。 プールして得た逆転写酵素液は 2 0 mMリ ン酸ソ一ダ緩衝液、 PH6.8(0. lmME D T A, 5 mM M g C 12, 0.1% (W/V) TritonX-100および 1 0 mM 2 一メルカプトエタノールを含有する) に透析し、 ハイ ドロ ォキシァパタイ トカラム (KBカラム、 株式会社高研 〔日 本〕 製) を用い、 高速液体クロマトにより、 更に精製を行 つた。 即ち、 上記の透析済み試料をカラムに吸着後、 2 0 〜 4 0 mMのリ ン酸ソ一ダ一の連続濃度勾配にて溶出を行い. 逆転写酵素活性を含む画分をプールし、 精製逆転写酵素を 得た。 本精製酵素の純度は、 S D S— PAGEにより 9 5 % (W/W) 以上であることが確認され、 また、 その収率 は粗抽出液に対し、 3 1 % (WZW) であった。 精製逆転 写酵素は、 ほぼ等モル比の P 6 4及び p 5 1から成り、 両 者の N末端アミ ノ酸配列を決定したところ、 P r o—
[0116] I 1 e - S e r - P r o - I 1 e -G l u -Th r - V a 1 一 P r o— V a 1 - L y s - L e u -L y s—
[0117] P r o - G 1 y……であり、 塩基配列から予測されるァミ ノ酸配列と一致した。
[0118] 実施例 1 0
[0119] エイズウイルスのコア蛋白を多量に発現するべクターの 構築: H I V— 1プロウィルスゲノム DN Aを保有するプ ラスミ ド p NL 4— 3 (Journal of Virology, 5 9 (2): 284- 291, 1986) の D N Aを制限酵素 P v u ϋで切断し、 約 2. lkbの D Ν Α断片を回収した。 この断片をプラスミ ド p U C 9の H i n c Π部位に揷入した。 そして揷入した断 片の 5' 末端が B a mH I部位側に連結したものを p C V 9 1 とした。
[0120] P C V 9 1を B a mH I及び B a 1 Iで切断した後、 生 じた約 1.5kbの DNA断片を回収し、 S a i l、 T 4 DNAポリメラーゼ、 及び B a m H Iで順次処理した発現 ベクタ一 p U R 292 (The EMBO Journal, 2 (2): 1791- 1794, 1983) に挿入して、 p P G912を作製した。 更に、 P P G912を B g 1 Π切断、 T 4 D N Aポリメラーゼ処理 の後、 自己連結させ、 p P G912を B g 1 Π部位に 4塩基 挿入した p P G 922を作製した。
[0121] p P G912及び p P G922では、 p UR 292上の
[0122] 1 a c Z遺伝子の 3 ' 末端部に、 H I V- 1 a g遺伝子 の P 2 4領域から p 0 1遺伝子のプロテア一ゼ領域までを 完全に含む D N A断片が in- frameで連結されている。 H I V - 1の遺伝子産物は;5—ガラク トシダーゼとの融合 蛋白として発現し、 その後、 p P G912では g a gから p o 1へのフレームシフティ ングを介して、 また、 p P G 922ではフレ一ムシフティ ングを介さずに発現するプロテ ァーゼによるプロセスを受け、 p 2 4コア蛋白が産生され る。 尚, P P G912では p 1 5 も産生される。
[0123] 上記の発現プラスミ ド p P G912及び p P G 922を
[0124] B a mH I と C 1 a Iで切断した後、 生じた約 1.5kbの DN A断片をそれぞれ回収し、 B a mH I と C 1 a Iで開 裂した発現べクター p T 7— 7 (Proc. Natl. Acid. Sci. USA, 8 2 : 1074- 1078, 1985) に挿入し、 p T G 1 1及び p T G 1 2を作製した。 次に p TG 1 1およひ p TG 1 2 を B a mH Iで開裂し、 T 4 D N Aポリメラーゼで処理し た後、 自己連結させ、 p TG110及び p TG120を作製し た。 これは、 由来する p PG912及び p P G 922と同じ
[0125] H I V蛋白領域を T 7プロモーター支配下で p T 7— 7由 来のオリゴペプチドとの融合蛋白として発現する。 融合蛋 白はプロテアーゼによるプロセスを受け、 その結果 p 2 4 及び p 1 5が産生される。
[0126] 尚、 プラスミ ド構築の宿主として大腸菌 J M103株
[0127] (Nucleic Acid Research, 9(2): 309- 321, 1981) , p P G912及び p P G922での蛋白発現の宿主として大腸 菌 UT481株 (Journal of Bacteriology , 163: 376- 384, 1985) 、 p TG100及び p TG120での蛋白発現の 宿主として大腸菌 B L 2 1 (D E 3 ) 株 (Journal of Molecular Biology, 189 ( 1 ) : 113- 130, 1986) を 用いた。 それぞれの大腸菌培養 1 当りの精製 p 2 4及び p 1 5の収量は表 1に示した。
[0128] 実施例 1 1
[0129] エイズウイルスのヌクレオプロティンを多量に発現する べクターの構築:実施例 1 0で作製した g a g— p 0 1遺 伝子発現プラスミ ド p P G912を H i n d inで切断し、 生 じた約 0.9kbの DNA断片を回収した。 次に、 この断片が 発現べクター p U R 290 (The E BO Journal, 2 (2): 1791 一 1794, 1983) の H i n d m部位に好ましい方向で揷入さ れたプラスミ ド p P G 930を作製した。 p P G 930では、 P UR290上の I a c Z遺伝子の 3 ' 末端部に H I V - 1 g a g遺伝子の p 1 5領域から p o 1遺伝子のプロテア一 ゼ領域までを完全に含む D N A断片が in-irameで連結され ている。 H I V遺伝子産物は 一ガラク トシダ一ゼとの融 合蛋白として発現する。 この融合蛋白はフレームシフティ ングを介して発現するプロテアーゼによるプロセスを受け. その結果、 p 1 5ヌクレオプロティンが産生される。
[0130] また、 上述の 0.9kbH i n d m断片を発現べクタ一 p T 7 - 7の H i n d IE部位に好ましい方向で挿入された プラスミ ド p T G 2 1 を作製した。 更に、 p T G 2 1 を S a 1 I切断、 T 4 DN Aポリメラーゼ処理の後、 自己 連結させることにより p TG210を得た。 p TG210は p P G 930と同じ H I V蛋白領域を T 7プロモーター支配 下で p T 7— 7由来のオリゴぺプチ ドとの融合蛋白として 発現する。 この融合蛋白はフ レームシフティ ングを介して 発現するプロテアーゼによるプロセスを受け、 その結果、 ρ 1 5が産生される。
[0131] 尚、 プラスミ ド構築の宿主として JM103株、 p P G 930での蛋白発現の宿主として U T481株、 P TG210で の蛋白発現の宿主として B L 2 1 (D E 3 ) 株を用いた。 それぞれの大腸菌培養液 1 £当りの精製 P 1 5の収量は表 1に示した。
[0132] 表 1 培養液 1 当りの精製蛋白の収量 発現プラスミ ド 宿 主 p 2 4 (mg) 1 5 (mg)
[0133] PPG912 UT481 5 0.7
[0134] PPG922 UT481 5
[0135] PPG930 UT481 1
[0136] pTGHO BL2KDE3) 1 9 3
[0137] PTG120 BL2KDE3) 1 0
[0138] PTG210 BL2KDE3) 精製した p 2 4及び p 1 5の N末端ァミノ酸配列を決定 したところ、 p 2 4は P r o— l i e— V a l —G l n— A s n - L e u -G l n - G 1 y - G 1 n— M e t - V a 1 一 H i s— G i n— A l a— I 'l e— . . . , P 1 5は I 1 e — G l n— L y s — G l y— A s n— P h e — A r g— A s n — G 1 n— A r g— L y s - T h r ― V a 1……, であり、 それぞれ塩基配列から予測されるァ ミ ノ酸配列と一致した。
[0139] 実施例 1 2
[0140] 形質転換体の培養によるエイ ズウイ ルスのコア蛋白 P 2 4の抽出 :形質転換体ク口一ン U T481/p P G922 をア ン ピシ リ ン 2 0 〃 gZ 含有の L B培地 (B acto 1 1 90
[0141] 4 9
[0142] -tryptone 1 % (W/V) , Bacto-yeast extrzct 0.5% (W/V) 及び N a C 1 1 % (W/V) ) で 3 7 °Cにて 1 8時間培養後、 1 Z100容量を新鮮 L B培地 (アンピシ リ ン 2 0 gノ^含有) に加え、 3 7 °Cにて前培養した。 培地の濁度 O D 600 nm が 0.5に達した時、 I P T G
[0143] (Isopropyト thiogalactoside:シグマ社 〔米国〕 製) を l mM加え、 更に 3 7 °Cにて 8時間培養を続けた。 遠心操作 (5, OOOrpm, 1 0分) で菌体を集め、 1 5 0容量の 5 0 mMリ ン酸ナ ト リ ウム pH7.0 に浮遊し、 超音波処理 ( 3 0秒処理を 5回、 19.5KHz 300W) 後、 遠心操作 (19, OOOrpm, 6 0分) により上清を分離した。
[0144] p 2 4の粗精製 :粗抽出液に 3 5 %飽和となるよう硫酸 アンモニゥムを加え、 攪拌後、 遠心操作 (16000rpm, 2 0 分) により回収した沈澱を 3 0 m£の 2 Q mMマロン酸ナ ト リ ゥム pH5.3に溶解し、 同液で透析を行った。
[0145] p 2 4の精製:透析後の試料を 2 0 mMマロン酸ナリ トウ ム pH5.3で平衡化した M o n o Sカラム (ファルマンァ社 〔スウェーデン〕 製) に通し、 塩化ナト リウム勾配 (0及 至 1 M) により溶出した。 p 2 4を含む画分をプールし、 2 0 mMト リス · H C 1緩衝液 pH8.4で透析を行った。 透析 後、 同緩衝液で平衡化した M 0 n 0 Qカラム (フアルマシ ァ社 〔スウ ェーデン〕 製) に通し、 塩化ナ ト リ ウム勾 配 (0及至 1 M ) により溶出を行い、 精製 p 2 4を得た。 実施例 1 3
[0146] P 1 5の抽出 :形質転換体クローン B L 2 1 ( D E 3 ) / P T G 210をァンピシリ ン 2 0 g 含有の L B培地 で 3 7 °Cにて 1 8時間培養した。 新鮮 L B培地 ( 2 0 〃 g アンピシリ ン含有) に前述の培養液を 1 Z 100容量相 当を加え、 3 7 °Cにて培養した。 培地の濁度 0 D 6 Q Q nmが 0. 5に達した時、 I P T Gを 1 mMとなるように加え、 更に、 3 7 °Cにて 5時間培養した。 遠心操作 (5000rpm, 1 0分) により菌体を集め、 培養液の 1 5 0容量の 2 0 mMリ ン酸 ナト リウム pH7. 0に浮遊し、 超音波処理 ( 3 0秒処理を 6 回, 19. 5KHz, 300W) 後、 遠心操作 (19000rpm, 6 0分) により得られた上清を粗抽出液として分離した。
[0147] P 1 5の粗精製:粗抽出液に 6 0 %飽和となるように硫 酸アンモニゥムを加え、 攪拌後、 遠心操作 (16000rpm, 2 0分) を行った。 得られた沈澱を 2 0 mMリ ン酸ナトリゥ ム PH7. 0に溶解し、 同液で透析を行った。
[0148] P 1 5の精製:透析後の試料を 2 0 mリン酸ナトリウム pH7. 0で平衡化したホスホセルロ一スカラム (ヮ ッ トマン 社 〔英国〕 製) に通した。 0及至 1 Mの塩化ナ ト リ ウム勾 配により溶出し、 p 1 5を含む画分をプールし、 2 O mMリ ン酸ナト リゥム pH7. 0で透析した。 これを、 ハイ ドロキシ ァパタイ トカラム (K Bカラム, ㈱高研製) に通し、 2 0 及至 700mMのリ ン酸ナ ト リゥム勾配にて溶出を行つた。
[0149] 1 5を含む画分をプールし、 再び 2 0 mMリン酸ナ ト リウ ム pH7.0で透析を行った。 この試料を M o n o Sカラムに 通し、 0及至 1 Mの塩化ナト リウム勾配により溶出を行つ た。 P 1 5を含む画分をプールし、 精製 p 1 5を得た。 実施例 1 4
[0150] エイズウイルスの g a g— p 0 1遺伝子を揷入 ·連結し た発現プラスミ ドの構築: H I V— 1プロウィルス DNA ク ローン p N L 4 — 3 を H i n d mで切断し、 生じた 約 1.2kbの D N A断片をクローニングべクター p H S G 398 (宝酒造社製) の H i n d m部位に挿入し、 p NL H 122を作製した。 p NLH l 2 2を B g i n及び H i n d mで切断し、 牛じた約 1.03kbの D N A断片を B a mH I及 び H i n d IKで開裂した M 1 3 m 1 9 (宝酒造社製) DNAに挿入 ·連結し、 G a g l 9 * (B g— H) を作製 した o 01 igonucleot ide-directed in vitro
[0151] mutagenesis system Vers ion 2 mersham社 〔英国〕 製) を用いて G a g l 9 * (B g - H) 上の g a g遺伝子の翻 訳開始コ ドン (ATG) 直前の塩基配列 GAGを CATに 改変し、 新たに N d e I部位を導入した G a g 1 9 · (N d e ) を作製した。 G a g l 9 (N d e) を N d e l 及び P s t Iで切断し、 生じた 0.63kbの D N A断片を. N d e I及び P s t Iで開裂した p T 7— 7に挿入 ·連結 し、 P T G541を作製した。 更に、 実施例 1 0で作成した P P G912及び p P G 922を P s t Iで切断し、 生じた約 1.2kbのDNA断片をそれぞけp T G541の P s t I部位 に挿入し、 好ましい方向で連結したものを p TG591及び p T G 592とした。 p T G591及び p T G 592では T 7プ 口モータ一支配下に ^遺伝子の翻訳開始コ ドンから、 上遺伝子のプロテアーゼ領域までを完全に含む D N A 断片が連結されている。 p TG591では、 発現した H I V 蛋白はフレームシフティ ングを介して発現するプロテア一 ゼによるプロセスを受け、 多量の p i 7, p 2 4及び P 1 5が産生される。 p TG 592では発現した H I V蛋白 は、 フ レームシフティ ングを介さず発現するプロテア一ゼ によるプロセスを受け多量の p 1 7及び p 2 4が産生され ) o
[0152] 尚、 プラスミ ド構築の宿主として J M103株、 蛋白発現 の宿主として B L 2 1 (D E 3 ) 株を用いた。
[0153] 実施例 1 5
[0154] エイズウイルスのマトリ ックス蛋白を多量に発現するべ クタ一の構築: 実施例 1 4で作製した p T G591を N s i I及び A p a Iで切断し、 S 1 ヌクレアーゼで処理した後 自己連結させた。 g a g遺伝子の N s i I部位より N末端 側と、 A p a I部位より C末端側とが i n— f r a m eで 融合した場合、 p 2 4の途中から p 1 5の途中までを欠い た G a g蛋白及び G a g— P o l蛋白が発現し、 これらは 後者に含まれるプロテアーゼによるプロセスを受け、 p 1 7が産生されると推測される。 上述の操作で得られた 多数のクローンから P 5 5 G a g蛋白をプロセスする活性 を発現し、 かつ、 p 1 7を多量に産生するクローンを選別 し、 p T G691とした。
[0155] p T G591を B g 1 Πで切断後、 T 4 DNAポリメラー ゼで処理し、 更に、 P s t Iで切断した。 この時生じる約 0.52kbの DNA断片を回収した。 一方、 p TG591を
[0156] N s i I, S 1 ヌク レア一ゼ, P s t Iで順次処理し、 こ の時生じる約 2.9kbの DNA断片を回収した。 上記 2種の DNA断片を連結し、 多数のクローンを得た。 このうち、 p 5 5 G a g蛋白をプロセスする活性を発現し、 かつ、 p 1 7を多量に産生するクローンを選別し、 P TG681と した。
[0157] p T G 591 を S p h I及び A p a Iで切断し、 T 4 1 NAポリメラーゼで処理した後、 自己連結させて p TG 71を作製した。
[0158] p T G 592を S p h l及び A p a lで切断し、 T 4 1
[0159] 5 4
[0160] DNAポリメラ一ゼで処理した後、 自己連結させて p TG
[0161] 172を作製した。
[0162] 実施例 1 4で作成した G a g 1 9 · (N d e ) を E c o
[0163] R I及び? s t Iで切断し、 生じた 0.76kbの DNA断片を- E c o R I及び P s t Iで開裂した M 1 3 m p 1 8に挿入
[0164] '連結し、 G a g l 8 * (B g - P) を作製した。
[0165] in vitro mutagenes isにより G a g l 8 * ( B g - P )
[0166] 上の g a g遺伝子の 1 3 3番目のコ ドン C CTを TAAに 改変し、 p 1 7をコードする領域の直後に終止コ ドンを挿
[0167] 入した G a g l 8 * T A Aを作製した。 G a g 1 8 ·
[0168] TAAを N d e l及び P s t lで切断し、 生じた 0.63kbの
[0169] D N A断片を N d e I及び P s t Iで開裂した p T 7— 7 に挿入 '連結し、 p T G 5 2を作製した。
[0170] P丁0691及び TG 1 7 1ではフレームシフティ ング
[0171] を介して、 p TG681及び p TG172ではフレームシフテ
[0172] イ ングを介さずに発現するプロテア一ゼにより、 欠損
[0173] G a g蛋白及び G a g— P o l蛋白がプロセスを受け、 多 量の P 1 7が産生される。 また、 p T G 5 2は翻訳後のプ 口セスを受ける必要のない p 1 7を直接多量に産生する。
[0174] 尚、 プラスミ ド構築の宿主として JM103株、 蛋白発現
[0175] の宿主として' B L 2 1 (D E 3) 株を用いた。 実施例 1 6
[0176] p 1 7の抽出 :形質転換体クローン B L 2 1 (D E 3 ) / p T G 171をアンピシリ ン 2 0 ^ g / 含有の L B培地で 3 7 °Cにて 1 8時間培養した。 新鮮 L B培地 ( 2 ΰ m g / アンピシリ ン含有) に前述の培養液を 1 Z100容量相当 を加え、 3 7 °Cにて培養した。 培地の濁度 0 D 600 ηιη 0.5に達した時、 I P T Gを 1 mMとなるよう加え、 更に、 3 7 °Cにて 5時間培養した。 遠心操作 (5000rpm, 1 0分) により菌体を集め、 培養液の 1 / 5 0容量の 1 5 mMリ ン酸 ナト リゥム pH6.7 に浮遊し、 超音波処理 ( 3 0秒処理を 6 回, 19.5kHz, 300W) 後、 遠心操作 (19000rpm, 6 0分) により得られた上清を粗抽出液として分離した。
[0177] p 1 7の粗精製 :粗抽出液に 4 0 %飽和となるよう硫酸 アンモニゥムを加え、 攪拌後、 遠心操作 ( 16000rpm, 2 0 分) を行った。 得られた上清に 8 0 %飽和となるよう硫酸 ァンモニゥムを加え、 攪拌後遠心操作 ( 1 6 0 0 0 rpm , 2 0分) を行った。 得られた沈澱は 1 5 mMリ ン酸ナ ト リゥ ム PH6.7に溶解し、 同液で透析を行った。
[0178] p 1 7の精製 :透析後の試料を 1 5 mMリ ン酸ナト リウム p H6.7で平衡化した S— sepharose (フアルマシア社 〔ス ゥェーデン〕 製) に通した。 0及至 1 Mの塩化ナ ト リウム 勾配により溶出し、 P 1 7を含む画分をプールし、 1 5 mM リ ン酸ナトリウム pH6.7で 2倍希釈した。 これを同液で平 衡化した Mo n o Sカラム (フアルマシア社製) に通した ( 0及至 1 Mの塩化ナトリゥム勾配により溶出し、 p 1 7を 含む画分をプールし、 2 0 mMリ ン酸ナトリウム pH7.0、 1 0 mM2—メルカプトエタノールで 5倍希釈した。 これを. ハイ ドロキシァパタイ トカラム (KBカラム, ㈱高研製) に通し、 1 5及至 700mMのリ ン酸ナトリゥム勾配にて溶出 を行った。 この方法で 1 ^の形質転換体培養液から約 4 mg の精製 P 1 7を得ることができた。 精製した p 1 7は N末 端のメチォニン残基が除去されていたが、 ミ リス トイル化 は受けておらず、 N末端ァミノ酸配列は G 1 y - A 1 a - A r g - A 1 a - S e r - V a l - L e u - S e r - G l y - G l y - G l u - L r e - A s p - L y s · T r p……で、 塩基配列から予測されるァミノ酸配列と一 致した。
[0179] 実施例 1 7
[0180] H I V- 1の n e f 遺伝子を揷入 ·連結した発現プラス ミ ドの構築 : H I V— 1プロウィルス D NAク ロー ン P N L 4 - 3を H i n d mで切断し、 生じた約 1.5kbの D N A断片をクローニングベクター p H S G 398の
[0181] H i n d M部位に揷入し、 p N L H 152を作製した。
[0182] P N L H 152を Hし n d ΙΠ及び X h o Iで切断し、 この時 生じた約 0.72kbの X h o I -H i n d HI断片を S a 1 I及 び H i n d HIで開裂した発現べクター p UR 292 (The EMBO Journal, 2 (2): 1791- 1794, 1983) に挿入 ·連結し、 P NF102を作製した。 p NF102を B a m H I及び
[0183] H i n d mで切断し、 生じた約 0.72kbの B a m H I 一 H i n d m断片を B a m H I及び H i n d Mで開裂した発 現ベクター p T 7 - 7に挿入 ·連結して p TF 103を作製 した。 p TF103を J_j_ig_H Iで開裂し、 T 4 DNAポリ メラーゼで処理した後、 自己連結させて p TN104を作製 した。 p N F 102は;8—ガラク トシダーゼと、 H I V— 1 N e f 蛋白のアミノ酸 3 5番目から 206番目 ( C末端) ま での領域とからなるキメラ蛋白を多量に発現する。 p TN 104は N e f 蛋白のアミノ酸 3 5番目から 206番目までの 領域の N末端に p T 7— 7のマルチクローニング部位由来 の 1 1アミ ノ酸から成るペプチドが付加されたキメラ蛋白 を多量に発現する。 これらキメラ蛋白は、 ウェスタンプロ ッティ ングで H I V— 1感染者血清と特異的に反応した。 発現の宿主として、 p NF102では JM103株及び UT 481株を、 p T F 104では B L 2 1 (D E 3 ) 株を用いた。 実施例 1 8
[0184] H I V— 1の N e f 蛋白を多量に発現するべクターの構 築: p NLH l 5 2を H i— n d !II及び H i n c Πで切断し、 生じた約 0.96kbの H i n c Π - H i n d m断片を、 H i n c Π及び H i n d IEで開裂した M 1 3 m p 1 9に揷 入 ·連結し、 N e f l 9 * (H e— H) を作製した。
[0185] in vitro mutagenesisにより N e f l 9 * (H e — H ) 上の n e f 遺伝子の翻訳開始コ ドン (A T G) 直前の塩基 配列 A A Gを C A Tに改変し、 新たに N d e I部位を揷入 した N e f l 9 * (N d e ) を作製した。 N e f 1 9 ·
[0186] (N d e ) を N d e I及び H i n d mで切断し、 生じた約 0.82kbの N d e I -H i n d IEを、 N d e I及び H i n d ΠΙで開裂した発現ベクター p T 7 - 7に挿入 ·連結し、 ρ Τ 7 — N e f を作製した。 p T 7 — N e f を B L 2 1
[0187] (D E 3 ) 株に導入すると全菌体蛋白の 1 0 %以上の N e f 蛋白が発現 ·蓄積された。
[0188] 実施例 1 9
[0189] N e f 蛋白の抽出と精製:形質転換体クローン B L 2 1 (D E 3 ) Zp T 7 — N e f をアンピシリ ン 2 0 ^ g /mi 含有の L B培地で 3 7 °Cにて 1 8時間培養した。 新鮮 L B 培地 ( 2 0 / g /mi了ンピシリ ン含有) に前述の培養液を 1 Z100容量相当を加え、 3 7 °Cにて培養した。 培地の濁 度 O D 60。nmが 1.0に達した時、 I P T Gを 1 mMとなるよ う加え、 更に、 3 7 °Cにて 5時間培養した。 遠心操作 (5, OOOrpni, 1 0分) により菌体を集め、 培養液の 1 / 5 0容量の 2 O mMリ ン酸ナト リゥム pH7.0に浮遊し、 超音 波処理 ( 3 0秒処理を 6回, 19.5kHz, 300W) 後、 遠心操 作 (19,000rpm, 6 0分) により得られた上清を粗抽出液と して分離した。
[0190] N e f 蛋白の粗精製 :粗抽出液に 3 5 %飽和となるよう 硫酸アンモニゥムを加え、 攪拌後、 遠心操作 (16,000rpni,
[0191] 2 0分) を行った。 得られた沈澱を 2 O mMリン酸ナト リゥ ム PH7.0に溶解し、 同液で透析を行った。
[0192] N e f 蛋白の精製 :透析後の試料を 2 O mMリン酸ナトリ ゥム pH7.0で平衡化した S— sepharose (フアルマシア社
[0193] 〔スウェーデン〕 製) に通した。 0及至 1 Mの塩化ナト リ ゥム勾配により溶出し、 N e f 蛋白を含む画分をプールし. 2 0 mMリン酸ナ ト リゥム pH7.0で透析した。 これを、 ハイ ドロキシァパタイ トカラム (K Bカラム, ㈱高研製) に通 し、 2 0及至 700mMのリン酸ナ 卜 リウム勾配にて溶出を行 つた。 N e f 蛋白を含む画分をプールし、 2 0 mMト リス · H C I pH8.3, 5 mM2 —メルカプトエタノールで透析を行 つた。 この試料を M o n 0 Qカラムに通し、 0及至 1 Mの 塩化ナ ト リ ウム勾配により溶出を行った。 N e f 蛋白を含 む画分をプールし、 精製 N e f 蛋白とした。 1 ^の形質転 換体培養液から約 7 mgの精製 N e f 蛋白を得ることができ た。 大腸菌で多量産生し、 精製した N e f 蛋白は、 N末端の メチォニン残基が除去されていたが、 ミ リス トイル化は受 けておらず、 N末端ァ ミ ノ酸配列は G 1 y— G 1 y— L y s — T r p— S e r — L y s — S e r— S e r ―
[0194] V a 1 一 I 1 e - G l y - T r p - P r o -A l a -
[0195] V a 1……で、 塩基配列から予測されるァミノ酸配列と一 致した。
[0196] 実施例 2 0
[0197] 精製 N e f 蛋白を用いる H I V— 1の診断:実施例 1 9 で調整した精製 N e f 蛋白を、 実施例 2に記載の要領でポ リアク リルァミ ド上で電気泳動し、 次いで、 二トロセル口 —ス膜上にプロッ トした後、 プロッキングのため、 該膜を 3 % (WZW) ゼラチン溶液に浸漬した。 H I V _ 1 N e f 蛋白に対する抗体の存在は、 ウェスタンブロッ ト法 によりヒ ト H I V— 1キャリアー ( 7例) の血清を用いて 検査した。 健康な成人 (9例) の血清についても同様に検 查した。 その結果を第 2表に示す。
[0198] H I V— 1キャ リア一 7例中の 6例の血清が N e f 蛋白 と反応し、 陽性であった。 この結果から、 本発明により大 腸菌で生産 ·調製した精製 H I V- 1 N e f 蛋白を使用 することにより、 H I V— 1感染の特異的な検出 ·診断の 可能であることが分かった。 第 2表 精製 N e f 蛋白を用いるゥヱスタ ンプロッ ト法 よる H I V— 1感染の診断 検 体 反 M
[0199] H I V - 1 キャ リア— 1
[0200] ヒ ト血清 2
[0201] 3
[0202] 4
[0203] 5
[0204] 6
[0205] 7
[0206] 健常人血清 1
[0207] 2
[0208] 3
[0209] 4 ± + + + + + + +
[0210] 5
[0211] 6
[0212] 7
[0213] 8
[0214] 9
[0215] * 精製 N e f 蛋白との特異的免役学的反応
[0216] * * ゥヱスタ ンプロッ ト法により測定した反応性、 +は 陽性、 一は陰性をそれぞれ示す。
[0217] 産業上の利用可能性
[0218] 本発明は、 遺伝子工学による医薬品や診断剤等の製造分 野、 また、 研究用試薬として分子生物学、 ウィルス学、 医 学、 薬学、 獣医学、 免疫学等の分野で利用できる。
权利要求:
Claims 請 求 の 範 囲
1 . レトロウイルス遺伝子のうち、 少なく ともプロテア ーゼ遺伝子領域を含むよう調製した c D N A断片を、 多量 発現遺伝子及び遺伝子直接発現べクターからなる群から選 ばれた D N A内に揷入連係することを特徴とするレ トロゥ ィルス遺伝子の発現能と翻訳後のプロセッシング能とを兼 備するプラスミ ドの作製法。
2 . レ トロウイルスがエイズウイルスである特許請求の 範囲第 1項に記載のプラスミ ドの作製法。
3 . レ トロウイルス遺伝子のうち、 少なく ともプロテア ーゼ遺伝子領域を含むよう調製した c D N A断片を、 多量 発現遺伝子及び遺伝子直接発現べクターからなる群から選 ばれた D N A内に揷入連係することを特徴とするレ トロゥ ィルス遺伝子の発現能と翻訳後のプロセッシング能とを兼 備するプラスミ ド。
4 . レトロウィルスがエイズウイルスである特許請求の 範囲第 3項に記載のプラスミ ドの作製法。
5 . レトロウイルス遺伝子のうち、 少なく ともプロテア ーゼ遺伝子領域を含むよう調製した c D N A断片を、 多量 発現遺伝子及び遺伝子直接発現べクタ一からなる群から選 ばれた D N A内に挿入連係することを特徴とするレ トロゥ ィルス遺伝子の発現能と翻訳後のプロセッシング能とを兼 備するプラスミ ドの発現産物。
6 . レ トロウイルスがエイズウイルスである特許請求の 範囲第 5項に記載のプラスミ ドの発現産物。
7 . 発現産物が g a g及び p 0 1遺伝子がコー ドするコ ァ蛋白及び酵素群から選ばれる少なく とも 1種の蛋白質で ある特許請求の範囲第 5項又は 6項記載のプラスミ ド。
8 . H I Vの n e f 遺伝子領域を含むよう調製した c D N A断片を多量発現遺伝子及び遺伝子直接発現べクタ 一からなる群から選ばれる D N A内に揷入連係することに より作成されたプラスミ ド。
9 . H I Vの n e f 遺伝子領域を含むよう調製した c D N A断片を多量発現遺伝子及び遺伝子直線発現べクタ —からなる群から選ばれる D N A内に挿入連係し作製され たプラスミ ドの発現産物。
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Bukrinsky et al.1993|A nuclear localization signal within HIV-1 matrix protein that governs infection of non-dividing cells
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Jin et al.1994|Mosaic genome structure of simian immunodeficiency virus from west African green monkeys.
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同族专利:
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引用文献:
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US08/202,684| US5610067A|1990-05-28|1994-02-25|Method of preparing plasmid having both expressing ability of retroviral gene and processing ability after translation, and resultant plasmid and expression products|
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